元婚約者と会ってから10日間が経った。毎日、元婚約者の名前をネットで検索したが、死んだというニュースはなかった。 それでも、１日たりとも忘れたことはなかった。そんなとき、色々相談にのってくれた友人から電話がきた。その友人は、やはり元婚約者のことがずっと気になっていて、さっき勇気を出して元婚約者に電話したというのだ。友人はこう言った。『結論から言うと、あいつは死なないよ』あたし『なんでそう思うの？』友人『明後日、就職の面接で東京に行く予定らしい』……は？あんだけあたしに死ぬって言っておいて、東京に面接？ その友人は、『もう一つ言わしてもらえば、面接で東京まで行くけど、旅費は自己負担なんだって。だから、指輪代も、もしかしたらその旅費に充てたんじゃない？』あたし『……。』ありえない結論に返す言葉がなかった。でも。でも、死なないんだよね？自殺はしないんだよね？友人にそう言うと、涙が出てきた。友人は、『これを機に、もう二度とあいつと連絡しないほうがいい。忘れて、次の出会いを見つけたほうがいい』と言ってくれた。元婚約者は、その友人とあたしが繋がっていること、元婚約者と結婚する予定で、直前で破棄したことをその友人が知っていることは、元婚約者は何も知らない。元婚約者は、友人との電話でも、あたしのことは一切触れず、仕事がなかなか見つからないと、嘆いていたそうだ。友人が元婚約者に電話してくれたおかげで、死なないことが分かり、あたしは安心し、その友人に感謝した。たくさんの感謝を伝え、電話を切り、しばらくボーッとしていたが、だんだん腹が立ってきた。もちろん、こういうことがおきたのは、あたしが悪い。あたしのほうから結婚しないと言ったのだから。でも、あたしの親が言っていた。結婚しないという結論はあたしが出したけど、そこに行き着くまでは、お互いに原因があり、どちらかが一方的に悪いということではないと。それでも、あたしは、ずっと自分を責めていた。こういうことになったのも、全部あたしが悪いんだ。あたしが、あたしが……。だから、元婚約者がもし自殺をしたら、その事実を一生背負って生きていくことは、到底無理だった。気が狂うかもしれない。あたしも死ぬかもしれない。色々考えて、それでも仕事はしないといけない現実に向き合いながら、もしあの人が自殺をしたら……。そればかりを考えていた10日間。なのに、あの人は普通に就職活動をし、面接で東京に行くことまでを決めていたのだ。腹が立って、いままで死なないでほしいと祈っていたが、その逆を一瞬思ってしまった。もちろん、その気持ちはほんの一瞬で、死なないことが良かったんだと自分に言い聞かせた。あたしは思った。あの人は、命の重さをしらない。生きている、それだけで幸せなんだということをしらない。仕事が見つからないとはいえ、住む家があり、食事もできる。親も生きている。お金がなく、住むところもなく、食べるものもない、血のつながっている人もいない、ということではないのだ。そういうなんでもないことが幸せなんだと思えない人間なのだ。あたしは。あの人と結婚しなくてよかったんだと思った。悩んで悩んで、結婚しないという結論を出したけど、間違ってなかったんだ。 きっと、今回のことは、あたしがそう思えるようになるためだったのかもしれない。あの人は。あたしが、そう思えるように、わざと？……まさかね。イベント参加してます。【デイリーで優しく毛穴&角質ケア】ダブル洗顔不要の美容液クレンジング！現品

masa 　 2015-08-23 12:55:54 提供：株式会社リ・ダーマラボ