桜は毎年入学式の前日の雨で散ります。
私は地元高校に進学しました。綺麗な桜が入学式の二日前までは咲いていましたが、やはり雨で散りました。

高校入学式の日に着た制服。
嬉しくて嬉しくてずっと着ていたら
シワになるわ！と母に怒られて
泣く泣く脱ぎました。
着替えてから、母方祖父母が家に来ました。
(うちは、父方祖父母、父母、私、妹の６人家族。)
「もーちょっと早かったら私の制服姿みえたのにー！あ、ばぁちゃん！おはぎと赤飯炊いてよー♡」
いつもと変わらぬ会話、祖父母同士語り合い
そのまま、私の入学祝いのパーティーで夜までワイワイしていました。
「制服や、いつでも見えるもんなー！」

翌日の夕方、ばぁちゃんは亡くなりました。
制服姿をお葬式で見せるなんて...
私をはじめ、孫一同、ばぁちゃんの子供達も通夜、葬式と泣き続けました。人間の涙って、枯れないことをこの時知りました。
尚香の時私は、亡くなる前日にしていた約束を思い出し、パニックになって、リビングに連れて行かれ、泣き崩れました。

お葬式中パラついていた雨は、ばぁちゃんの出棺を待っていたかのように上がり、霊柩車に乗って焼き場に行きました。
焼き場で最後のお別れをして、皆がタバコを吸いに外に行くのでついて行き、煙になるばぁちゃんを見上げると山いっぱいの桜が目に入りました。

桜かぁ...こっち、まだ咲いとんやな...
母とそんな話をしていたら
風が急に吹いて沢山の桜の花びらが舞いました。


今も桜の花びらが風で舞うのを見ると、11年前のあの時を思い出します。
ばぁちゃんが亡くなった時から桜は私にとって辛い、悲しい象徴になっていました。
だけど、今年は4歳の娘の保育所の入所式があります。
辛く悲しいだけだった桜が、娘の成長の象徴にもなりました。私が通っていた保育所に娘は通います。
私が通っていた時咲いていた桜の木もあります。
桜を見るとあの日を思い出して、泣きたくなる時もあります。けど、娘が入所して新しい友達、新しい生活が始まるのも桜が咲く季節です。
焼き場でのあの桜が舞った景色は一生忘れんけど
ママ歴たったの5年。これからは桜の季節、クヨクヨしないで前を向いて家族で歩いて行きます。

実希 　 2016-03-14 01:29:27 提供：ジェイエステティック