私に起こった奇跡ブルーノート東京に彼女は来たNYでも聴けなかった彼女の歌が聴ける彼女を知ったのは、1985年最初に聴いた声は、カセットからだった擦り切れるまで何度も何度も聴いて、彼女に酔ったNYで巡ってきたチャンスを掴めなかった、1998年気がつけば、いつも彼女のCDを聴いてきた私の永遠の憧れ、“ヘレンメリル”最前列で彼女を視ている真っ赤なマニュキュアでマイクを持ち、ミュージシャンに「次は?何を歌うの?」と聞き、「オーケイ、イエス」「シュア」と囁くように答え、ゆるりと歌うミュージシャンの、額には汗がにじむのに、黒いドレスのヘレンは、ブロンドを一糸乱さず、スポットライトに眩しそうに目を細めながら歌う1曲歌い終わる度に、「Thank youどうもありがとう」と言うフフフと笑う彼女独特のハスキーな笑い声は、会場全員を笑顔にした目の前にいる、生きて歌うヘレンすり切れるまで聴いたカセットから流れていた曲が、聞こえる円熟し、歳を取ることを止めたその声は、かすれていても消え入りそうな音量でも、音階を保ち、会場の空気を揺らす生きて歌うヘレンを感じる瞬間、彼女の声が幾十にも倍音を轟かせ、歌う一人のヘレンが、何人にもなる瞬間にであった 彼女が、その名を世界に認めさせた“You'd be so nice to come home to”貴方のもとに帰れたら嬉しいわと、私も歌おうヘレンにはなれないけど、この歌詞を贈りたいその人に 彼女のステージを堪能しながらいただく、ヘレンと聴衆を結ぶカクテルは、彼女が名前を贈った“DREAMING OF HAWAII”シュワシュワとしたスパークリングワインに、カシスのリキュール、そしてグラスの底に沈んだ皮ごと食べられるマスカットその姿は、真夏より優しい時間の水平線に沈む夕日のようステージに上がる時、「Big welcome back! Helen!」とかけた声は届かなかったけど、ステージから下がる時、「Thank you, Thank you so much! Helen!」とかけた声に、一瞬足を止め「Tank you」と微笑んで答えてくれたその声を私は一生忘れない奇跡は起こる 続きを見る['close']