特定保健用食品(トクホ)
[2012-08-10 18:00:00][
ブログ記事へ]
見覚えのある方も多いはずの「トクホマーク」<有効性を国が確認>トクホは、国が製品として有効性(効果)や安全性を評価し承認している食品で、これまでに約1000品が、個別に審査を受けて認可されていますこれらは、トクホマークを付けて販売され、原則として国が認めた表現で有効性を表示したり、宣伝したりすることができますたとえば、「脂肪の吸収を抑える」「糖の吸収をおだやかにする」などの文言です国は、このトクホのほか、ビタミンやミネラルを一定量含む「栄養機能食品」にも、機能を表示することを認めていますしかし、この2種類と病人や乳児を対象とした「特別用途食品」以外の食品は、法的には普通の食品となんら変わりがなく、効果を表示したり宣伝したりすることは法律で禁じられています<健康食品との違いは?>深夜のテレビショッピングで売られていたり、新聞、週刊誌の広告欄にあふれる健康食品は、ほとんどの場合、トクホでも栄養機能食品でもありませんよく見ると、効果は明確には示されておらず、利用している人の体験談が紹介されています画面や広告の片隅に小さく「個人の感想であり、商品の効能を示すものではありません」などの字が入っていますなんとも紛らわしいことですが、これらの「いわゆる健康食品」は、国が有効性や安全性を確認していませんあくまでも企業の責任で売られるもの有効性を表示したり宣伝したりしてはいけないので、「食べた人が、勝手に効くと主張しているそれを紹介します」という体裁で、売られているのです個人の体験談や感想は、その人には当てはまっても、ほかの人に当てはまるとは限りません「効く」と思い込んでいれば、薬効がなくても効いてしまう「プラセボ効果」が出ている場合もありますそれに、その人がウソを言っていても、だれも確認できないのです実際に、「架空の体験だった」などとして企業が法的責任を問われた事例もありますこうした健康食品に比べれば、トクホは国が保証しているのですから、はるかにマシこの点が、まずは押さえておくべきポイントです表示許可審査手続きの流れトクホの安全性については、食品安全委員会が審査していますさらに、安全性と有効性について消費者委員会が審査し、どのような表示を認めるかについても決定し、消費者庁長官が許可する、という流れです 企業は、許可された製品にトクホマークを付けて販売できますが、効果を自由に表示宣伝できるわけではありませんトクホとして認可された時に表示内容も決められ、その文言の範疇しかほぼ、使えませんまた、いわゆる健康食品のような体験談、個人の感想も、宣伝に用いてはいけません消費者庁が、実に細かな企業向けQ&Aを出しており、企業は非常に厳しい制約を受けています<効果はどの程度?>では、トクホはどの程度の効果があるのでしょうか? 製品によって大きな差があるのでしょうか?トクホとして認められる主な効果現状、トクホとして認められる効果は、主に表のようなものですトクホの有効性に関する審査は、「個別品目の審査内容が許可申請を行っている事業者の権利または利益を侵害するおそれがあるため」という理由で概ね非公開じつは、申請企業も書類を提出した後は、この審議には出席できない、という徹底ぶりです企業は、有効性をヒトで確認する試験や、作用経路、体内での代謝の動態を調べる動物試験などを行い、しかるべき学術誌等に論文として発表し、提出して審査を受けます当然、安全性についても同様に、かなりの研究が求められますいわゆる健康食品の中には、ヒトで確認しておらずマウスや細胞での実験結果しかなかったり、論文として発表されていなかったりするものもたくさんありますので、この点でもトクホは信頼がおけます<生活習慣病の「境界線上にいる人」が対象>ただし、気になる点もトクホは、同種の食品を摂るよりは、トクホを同じ量摂った方が健康の維持増進に寄与できる、という位置づけです「トクホだから、どれだけ食べてもいい」というわけではありません「トクホの油だから、どんなに揚げ物を食べても大丈夫」なんてうまい話はありませんまた、医薬品とは違い、劇的な効果はみられませんトクホに切り替えたら、乱暴な食生活をしても大丈夫、というようなものではないのですそのことが、消費者にきちんと伝わっていないのでは、と思えますそれに、トクホは食生活が原因となって起きる生活習慣病に「罹患する前の人」や「境界線上にいる人」を対象としています企業が効果を確認した試験も、健康体から不健康体へ、ぎりぎりのところにいる人を対象に行ったものがほとんどです「血中中性脂肪や体脂肪が気になる方」向けの食品であれば、軽度のコレステロール血栓者や境界域の人を対象とした試験だったり、あるいはBMIが2425程度の人だったりしますBMIは、25以上で肥満ですから、体脂肪が相当に付いている人たちですこういう人たちの健康が、トクホでない食品を食べるよりは少し改善される、というのがトクホテレビCMでは、スマートな俳優や女優がさっそうと宣伝していますが、トクホを摂取したからといって、あのような体型になれるわけではありませんたとえば、メッツコーラの効果を示す論文を読むと、試験の対象者は「空腹時血中中性脂肪値が正常高値域からやや高め」の90人が対象でBMIの平均は261この人たちに、メッツコーラと、関与成分の難消化性デキストリンが入っていない対照飲料を飲ませて比較したところ、メッツコーラの方がわずかに、中性脂肪の上昇が抑えられたという結果です鍛えているジョーに効果があるかどうかは、この実験からは言えませんまた、摂取するタイミングなども注意が必要今話題のメッツコーラや黒烏龍茶は、脂肪の吸収を抑えるものなので、脂っこい食事をする時に一緒に摂らないと意味がありません<健康のためにはバランスのよい食事や運動を>要するに、トクホは食べさえすれば不摂生な生活をチャラにしてくれる、というようなものではありません生活をなにも変えずに、油をトクホの油に切り替えたり、飲み物をトクホ製品に切り替えたりするのと、トクホを摂らずにバランスのよい食事に切り替え運動をはじめるのと、どちらが効果的か? 圧倒的に後者である、と断言できますトクホ製品をよく見ると、必ず「食生活は主食、主菜、副菜を基本に、食事のバランスを」と表示されています健康を考えれば、これが一番大事なのですでも、食生活をいきなり変えるのは大変だから、トクホも少し手助けにそして、ゆくゆくは食生活の改善を……そんな利用が求められています繰り返しますが、いわゆる健康食品よりは、国がしっかりと検証してくれている、という点ではるかにマシでも、劇的な効果、医薬品的効果などまったく期待できないそれが、トクホなのですでは、その効果は、企業によって、製品によって大きく違うのか?前述の通り、資料が完全に公開されているわけではないので判断が難しいのですが、各社のウェブサイトなどでの宣伝や情報発信など見る限り、大差ない、というのが私の考え例えば、メッツコーラのウェブサイトと黒烏龍茶のウェブサイト、それぞれ効果を示すグラフが公開されています比較してみてくださいソース元:トクホは効くの? 効かないの?(前篇)不摂生な生活は、チャラにはならない松永和紀 (科学ジャーナリスト)≪ラーメン3種の食べくらべ!≫かんすいを使わない【きねうち麺】セットを5名に!
続きを見る
['close']