「Mart主婦」家計は破綻しやすいか…
[2012-05-29 11:39:43][
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■何となく、何となくお金が出ていく 光文社刊「マート(Mart)」という雑誌が現在注目されているのをご存じだろうか? 食べるラー油ブームや今一番流行っている調味料「塩麹」のブームも、この30代向けミセス雑誌から起きたと言われているEコマースサイト「ケンコーコム」で、2012年2月の塩麹の注文数は、11年12月に比べて実に約24倍今、この「マート主婦」の財布の紐を緩めさせることが、メーカーの売上増の近道なのだ「マート」の誌面で笑顔を見せているのは、時間に余裕のある30代専業主婦が多いひと昔前のミセス雑誌とは違い、「節約」や「家計簿」などの文字は見かけないが、紅茶缶を利用した収納法や、100円ショップで買えるカラフルな小物などがカラーページいっぱいに躍っている 一方で、高級ブランドバッグなどではないが、“ちょっといいモノ”系の記事も充実している例えば「主婦XXさん(31歳)のおススメ調味料」などは、ひと瓶1000円以上することも珍しくない 彼女たちは節約家か、それとも浪費家なのか? ──某日、首都近郊の住宅地のマンションの一室に、それらしき20代、30代の専業主婦5人を集めて話を聞いてみた 彼女たちは近所のママ友すでに2LDK3LDKのマンションを買い、車を持ち、幼稚園以下の子供が12人そろって夫の年収は約800万円という あくせくとは無縁の立ち居振る舞い皆、小さな子供がいるのに身なりに手を抜いていないのが驚きだメークもしっかりして、ちゃんと美容院に通っていると思しきヘアスタイルかつてブームを呼んだ“エビちゃんOL”が、しっかりと高収入男をつかまえた、という雰囲気なのだ 月々の生活費は20万30万円という余裕ある暮らしぶりで、皆「今、とても幸せ」と言うが、何と全員が「毎月、赤字ですはみ出してます」そこはボーナスで補填するが、貯蓄もゼロに近い「子育て中のモデルさんのブログとかを見て、かわいい子供用のグッズがあると、ついクリックして買っちゃいます」「洋服はOL時代に比べて買わないけれど、大学時代からずっと通っている表参道の美容院まで、毎月髪を切りにいっています」 日々何となく、何となくお金が出ていってしまうのだと誰もが言う高級品は買わないからお金を使っている実感はないのだろうが、家計簿をつけていないため、「見える化」がされていないのだ家計管理も夫任せか、もしくは誰もしていないいわば、経理担当のいない会社である FPの花輪陽子さんは、「このレベルの年収の専業主婦家計が、一番破綻予備軍になりやすいんです」 と言うプチ高収入なので、家計簿をつけぬまま、“少しだけいいモノ”の浪費が知らぬ間に積み上がっていくのだ では、家計簿をきちんと付けていれば大丈夫だろうか? 都心部から地下鉄でわずか20分ほどの閑静な住宅地に住む小堺さん(仮名)一家夫のツヨシさん30歳(商社勤務)、妻のユイコさん28歳(元金融機関勤務、現在専業主婦)と生後8カ月の子供3人で月15万円の賃貸マンションに住む「僕が毎日ケータイで入力して、エクセルに入れています」 という毎月の家計簿は、ツヨシさんが1年分をプリントアウトしてきてくれたそれを見た花輪さんは、「年収の25%を貯金に回すのが理想的なんですが、ボーナスで貯金ができています毎月赤字ですが、優秀なほうですね」 ユイコさんには月の生活費を現金で10万円渡しているが、子供関連グッズなどは、「子供のオムツ代だけが生活費からあとはカードで買っても夫に請求します」という 10万円の内訳は、オムツ代、食費(ほとんど妻と子供のみ)と妻のお小遣いとなる「食費は5万円お小遣いの使い道は、ママ友とのランチや月1回のお花のお稽古ぐらいでしょうか? それに、子供のものはついつい買ってしまいます子供受けのよくない北欧製の木のおもちゃとかよだれかけもわざわざネットで探して、フィンランドのブランドのものを買いました2000円ぐらいするんですが、使い勝手はよくないんですよね」(ユイコさん) ネットで検索すると、よだれかけは200円台から販売しているこのあたり、先の主婦たちと同じ感覚だ「難を言えば、外食費、娯楽費などご主人のお小遣いがちょっと多いですねえ外食費が今10万円程度ですが、お小遣いは年収の10%程度に抑えるのが理想半分の5万6万円にすると、もっと貯金できます」(花輪さん) ユイコさんが頷く「以前は、月に15万円ずつ貯めていましたでも、今はそれは難しいですね」 年収700万円の金融機関総合職だったユイコさん妊娠が判明し、去年3月に退職ハードワークのせいか流産しかかり、入院したことも一因だった「共働きの頃は、夫婦別財布でまったく気にせずお金を使っていました海外に行って、安かったからと80万円ぐらいの時計をペアで買ったり、洋服も一着5万8万円ぐらいのものを買っていましたね今はすべて箪笥の肥やしです売ってしまいたいですね」 と嘆くが、お金にはあまりこだわりがなく、家計簿もほとんど利用することがないというせっかくのご主人の努力も効果が半減しそううーん、もったいない……■子供が小さいうちこそ、貯めるべき 小堺家について花輪さんが心配するのは、将来のことだ「今はいいのですが、子供が大きくなってくると教育費がかかります塾や私立に行くことを考えると、もっと貯金をしたほうがいいですね」 ツヨシさんも心配そうに、「教育費って、どれぐらいを考えておけばいいのでしょうか?」ツヨシさんは、大学には奨学金で通っており、現在月々約1万円ずつ返済している高校までは国立だった「私立は、学校によって差はありますが年100万200万円×年数になります子供が6年生にもなると、塾代も年100万円ぐらいはかかります」(花輪さん) ユイコさんは、「私立にはこだわらない国立の小学校にでも受かったら儲けもの」と言うしかし、ご自身の経験もあって、「わが子にもお稽古事をやらせてあげたい」という気持ちは強い 花輪さんによれば、まず月5万円貯めていければいいというそのためには、ご主人の飲食代を月5万円までに抑えることが必要だ「お子さんが幼稚園に入ったら、扶養控除の範囲内で働くことはメリットがあります」という花輪さんのアドバイスに、ユイコさんは「2人目も考えると復職は難しいので、資格でも取ろうかと思っています」と考え込んだ 先の主婦たちは言うに及ばず、比較的優良な小堺家ですら万全ではない子供がまだ小さい期間こそ、お金を貯めるか働くべきときである「ちょっとだけよいものに囲まれて、丁寧に暮らす」生活を楽しむ余裕は、実はない一見優雅なマート主婦家計は、「教育費破綻」という危機を常にはらんでいるのだ【小学館】『増やす男と、捨てない女の片づけ術 中山真由美/著』読者モニター募集
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