洗剤と自転車と母の日
[2012-05-23 23:59:28]
ぼくは自転車が好きなのですが、その自転車好きを決定づけた出来事が、小学校3年生の時の母の日に起きたのです
母の日の一週間前に、学校で母の似顔絵を描き、プレゼントしよう!という工作の授業があったのですが、似顔絵だけでは母の日のプレゼントとして不十分ではないかと思ったのですそれは恐らく、家事という毎日同じルーティンワークを嫌な顔ひとつせず(ぼくが見ていない時にしていたのかも)こなす母に対して、ある種の負い目と申し訳なさを感じていたのかもしれない(子供のころ、大人と対等に扱われたい、って思ったことあるよね)
だからもう一つ別のプレゼントを用意しようと計画し、少ないお小遣いで買えるものをと思い、ちょうどなくなりかけていた台所用洗剤を買うことにしました
しかし、そのことを当日まで忘れていたのです!いざ母の日となったとき、そのことに気づき、ぼくは慌てましたすぐに買いにいこうとしましたが、外は雨あきらめかけましたでも、自転車が僕をよんだのです買いに行けとぼくはカッパを着込み、自転車にまたがりました風も強く、非常に怖い道のりだったと記憶していますなんとか台所用洗剤を購入し、家まで帰りつきました何もなくてよかった、と思い油断した瞬間、ぼくは自転車スタンドを降ろす時に、足を少し切ってしまいましたやっちまったなあ、と思い、その足の傷を隠しながら、母にプレゼントを渡しましたしかし、母の眼は、僕の足を隠すという細かい仕草を見逃さなかったのです日常生活では普段傷ができるところではなかったため、怪我の理由を問いただされた僕は、素直に白状しました母は、ぼくの頭にゲンコツをしましたぼくは、なんだかなあ、と思いつつ、後日台所の洗い場におかれた洗剤を見ながら、あのとき自転車の声が聞こえなかったら、ゲンコツされることもなかったし、あそこに洗剤はなかったのだろうなあ、と考えていました不思議な体験をしたなあと思います
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