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これから赤ちゃんを望む方に、読んで頂きたい話です☆

こんにちは
今日はいつものお気楽ブログではなく、
ママブロガーに是非読んで頂きたい、私の第2子妊娠時のエピソードを記事にしたいと思います。

                 

長女の春ちゃん出産後、喘息のような症状とともに、生理がずっと不順で、不正出血をしていた。
最初は内科の病院へ行っていたが、心配になり、近所の産婦人科を訪れてみた。

その病院に足を踏み入れても、人の気配はなかった。受付の呼び鈴を押すと、しばらくしておじいちゃんの先生が出てきた。
「初診ね〜。いいよ〜入って」
 看護婦さんもいないらしい。
 今までの経過を説明し、喘息と診断された病院での血液検査の結果を見せる。白血球とCRP(体の中の炎症の度合いの目安となる数値。動物でも使用されている)が高かった。これが子宮の病気から来ているものなのであれば、見せておいた方が良いと思ったからだ。
「生理をちゃんと戻してあげないとね〜。エコーあてるよ」
 古い機械だった。はるぼうを産んだ病院のエコーの方が鮮明だ、なんて診ていると
「・・・えええ?」
 すっとんきょうな声をあげてしまった。
 赤ちゃんがいる。それもそら豆レベルではなく、すでに人の形をしていた。
「三ヶ月にはなっているねえ。まさかまさかだねえ」
 ピ・とエコー写真を出している。

・・・薬!ここ三週間、薬浸けと言って良いほど服用している。

「薬を飲んじゃってるんですけど!」
 自分が覚えているだけ、一気に羅列する。メジャーな薬ばかりのはずだが、おじいちゃん先生、ぴんとこない様子だ。古い薬の辞典を出してきて、ペラペラめくっている。
「・・セフェム系と、マクロライド系の抗生物質だねえ」
 そんなことは知っている!妊婦が飲んでしまったらどうなのか。
「堕ろすなら今だけど、どうする?」
 !
 堕ろすって・・・。高校生ならまだしも、もう三十の大人だよ私。
「この大きさなら市から出産一時金が出るからお金の心配はないよ」
 そういう問題じゃない!
「あの、薬の影響はどうなんでしょうか」
 一番知りたいのはこれだ。
「そういうことも含めて、まだ上の子も小さいし、これ以上大きくなるともう堕ろせなくなるよ」
 堕胎を勧めるのかこのじーさん。それともそんなに危険な薬を飲んだのか。「旦那と相談します・・」
 エコーの写真をもらい、家に向かって歩く。旦那には生理が二日で終わるから病院行ってくる、とだけ話していた。子がいた、なんて言ったらどんな顔をするだろう。
 まさか妊娠していたとは。確かに二人目は欲しかったし、避妊もしていなかった。
でも生理と思われる出血もあったし、つわりも全くなく、ばくばく何でも食べていた。
 春ちゃんのときは懐妊六週で気がついていたのに、こんなにも自覚症状がないなんて・・・。

「・・・どうした?」
 よほどひどい顔をしていたのだろう、旦那が珍しく心配そうに聞いてきた。
 黙ってエコー写真を見せる。
「・・・おやまあ」
 春ちゃんのときと全く同じ反応。
「・・・薬飲んじゃったよ!抗生剤たらふく!影響あるのか聞いてみたけど、おじいちゃん先生で良くわからないみたいだった」
「・・・まあ飲んでしまったものは仕方ないな」
 旦那は冷静だった。テレビなんて見ている。あんまり興味ないのかい。
「とりあえず産院に行ってくる!」
 私には二人目ができたらここで産みたい!と思っていたところがあった。ママ友達の一人に、一人目の子が春ちゃんを産んだ所、二人目がその産院という方がいて、すごく良かったと聞いていたからだ。ついさっき行った婦人科でもお産は扱っていたが、とても世話になる気は起きない。
 車を飛ばし、二十分ほどで到着。
「初診なんですけど」
 本日二度目のセリフ。本来予約制の病院で、妊婦さんが七、八人診察待ちをしていた。一時間ほど待っただろうか、まず看護婦さんに問診される。
「最後の生理が二十ヶ月前になっていますけど・・・」
「上の子を産んでから一度も生理がなかったもので・・。別の婦人科で、赤ちゃんは三ヶ月にはなっている、と言われました」
 正確な最終生理日が判らないと、出産予定日も判らない。
「ここでお産をご希望なんですよね・・。八月はまだ少し空きがあるんですけど、七月はもういっぱいで・・」
 時は十二月半ば。三ヶ月じゃもう駄目、ということでは・・。お産難民多発地区だというのに、こんな時期にのこのこ産院に現れる妊婦は珍しいのだろう。困らせてしまっている。春ちゃんがお腹にいたとき、産める場所が無く、泣いていた妊婦さんの姿を思い出す。
「先生がエコーで確認してから予約が可能か調べてみます」
 また待合室へ。それからの三十分、頭は飲んだ薬のことでいっぱいだった。思い出せるだけで九種類。まだ他にもあったが、薬剤名が思い出せない。
「どうぞ」
 診察室に入る。優しそうな先生だ。今までの経過を一気に説明する。一つ一つ、カルテに記入してくれている。前の産院では考えられない丁寧さだ。
「今聞いた薬では、問題のあるものは一つもありません。全て妊婦さんにも出す薬です。喘息の吸引薬も続けて下さい」
 神の声か。
「通常の薬を飲まなかった妊婦さんでも、三%の奇形胎児の確率があります。逆に言うともし生まれてくる子に問題があるとしても、それは薬が原因だったとは言えません」
 安心させてくれる。エコー室へと誘導された。今日二度目の超音波。さっきは混乱して良く見なかったが、赤ちゃんを見るのはうれしい。
「・・・結構大きいよ。もう十三週ですね」
 じゅうさんしゅう。四ヶ月半ば。こんな時期まで気づかなかったのか、私は。いや、不正出血がなければお腹がもっと大きくなるまで判らなかったと思う。本当に、なんという迂闊さだ。
 出産予定日は六月半ば、ここでの出産は絶望的だ。ああ、どうしよう。産婆さんに来てもらって、自宅出産なら可能だろうか。
 いろいろ考える。午前中に行ったおじいちゃんの病院なら空きがあるかもしれないが、薬も判らないお医者さんじゃ不安すぎる。ここの先生は問題ないとすぐに話してくれたのに、辞典を調べてどうだろうねえ、堕ろすなら今だよ、なんて言う先生・・。
「丁度六月は半ばだけ空きがあったので、お産の予約しておきましょう」
 またしても神の声か!目の前の先生に後光が差して見える。
 妊娠初期の大事な検診を四回はさぼっていたので、母子手帳もまだだったが初期の血液検査をしてもらう。気持ちがまるで違っていた。新しい家族を考え、うきうきしてくる。
 新しいエコー写真をもらって家路についた。
 念のため、今まで飲んだ薬の処方箋を確認してみる。
 思い出せなかった薬の中に、抗生物質が一つあった。ネットで調べてみる。

 用法・・・・妊婦への使用禁忌

 禁忌・・・・!

 目の前が暗くなる、という言葉の意味がはじめてわかった。



 いくら説明書を読んでも、禁忌、飲んじゃ駄目よ、と書いてあるだけで飲んだらどうなる、とは説明されていない。
 もう飲んじゃったよ・・。思考回路が停止していたが、もう保育園へ春ちゃんを迎えに行く時間だ。お風呂に入れ、御飯を食べさせ、寝かしつけなければならない。
 旦那にも話したが、やはり
「飲んじまったものは仕方ないだろ」
 としか言ってくれない。
 どうしようどうしようどうしよう。春ちゃんを寝かしつけながら、涙が出てくる。赤ちゃんがいるのにも気付かず、苦しめるようなことばかりしていた。不正出血だって、本来流産の危険があったはずだ。それを乗り越えて、がんばってお腹にいてくれたのに・・・!
 こんなに自己嫌悪に陥った夜はなかった。

 翌日、丁度喘息の薬が終わり、呼吸器科で再診の予約をしていた。先生に、実は妊娠していたと話す。
「嘘ーん」
 うそーん・・って。
 嘘じゃないのです、先生。処方された、抗生剤のことを聞いてみる。
「抗生剤もそうだけど、喘息の錠剤もあんまりよくないんだよね〜。アメリカでは使われてるけど、日本じゃまだ認可が・・」
 さらに不安にさせてくれる。
「たぶん大丈夫だと思うけどね。あ、じゃあ薬は吸引薬だけに減らしておきます。また二週間後ね」
 退室。婦人科専門の先生ではないし、ここで突っ込んで聞いてもしょうがないだろう。吸引薬の処方箋をもって、薬局へ行く。
「今回、錠剤は処方されると言われませんでしたか?」
 薬剤師さんに質問される。通常はセットで処方される薬らしい。
 そうだ、薬剤師さんなら薬の専門家。他に待っている人もいないし、聞いてみよう。
「妊娠していたので・・」
 サッと顔色が変わる。
「ちょっと調べて来ますので、お待ち下さい」
 五分ほど立ちつくす。無表情の薬剤師さんが本を持ってやってきた。
 飲んでも大丈夫だった薬から、説明してもらう。
「・・この抗生剤については、妊婦さんには禁忌薬なので、赤ちゃんに影響はあるかもしれません」
 ああ、やっぱり・・・。でもどの程度の危険性なのかは、やはり教えてくれない。
「妊娠には気付かなかったんですか?私も先生も、報告されていなかったからこの薬を処方したんですよ?」
 決して冷たい言い方ではなかった。むしろ優しい声だったが、この言葉は胸に突き刺さった。

 気付かなかったのです・・・。
「上の子を産んでから一度も生理がなかったもので・・・」
 あ、やばい。目頭が熱くなってきた。こんな所で泣くわけにはいかない。吸引薬をもらい、急いで駐車場へ行く。
 涙が溢れた。後から後から流れてくる。
 もう家に戻らなければならない。春ちゃんをいつまでも母に預けておくわけにはいかない。


 結局どの程度の危険なのだろう。はるぼうを寝かせた後、ネット検索する。妊婦・薬・禁忌薬・・調べているうちに、妊娠と薬について外来を行っている大きな病院が、二つあることがわかった。うち一つの病院は飲んでしまった薬の危険性について、ネット上で公開している。
 赤ちゃんへの催奇形性は、薬の危険性だけではなく、飲んでしまった時期によっても大きく左右されるらしい。一番危ない時期は器官形成期の三から八週。その後十六週までは注意が必要、とある。薬を飲み始めたのは十週頃からだった。
 妊婦禁忌薬にも色々種類があった。かなり危険度の高いものから、新薬で、症例数が揃っておらず危険性が不明な為、禁忌のカテゴリーに入っているものまで。
 どうやら私が飲んだものは後者に属するらしい。かといって安心もできないが、多少気持ちは落ち着いた。妊娠中に服用した、他の薬についても調べてみる。危険性はあるがその確率は低いもの、全く無害なもの・・。
 しかし一つ一つの確率は低くとも、これほど沢山の薬を飲み続けた相乗効果もあるのでは・・。妊婦危険薬の一覧を出してみる。
 ここで、奈落の底へ落ちていくことになろうとは夢にも思わなかった。



突然だが、私は親父くさいつまみが大好きだ。イカの塩辛、たこわさび・・。寒い時期になり、スーパーの店頭にアンコウが並びはじめると、決まってあんきもを探してしまう。十一月の中旬も、五百グラムほどのあんきもが特売されていたので、迷わず購入した。良く洗い、百グラムほどの小分けにしてアルミホイルでキャンデー状に包み、四十分ほど蒸す。冷蔵庫で冷えたところを大根おろしとポン酢で一口、これが最高に美味しいのだ。冷蔵庫で一週間ほど日持ちするので、旦那とちびちび百グラムずつ、毎日食べていた。主に私が。
 その二週間後もまた特売があったので同様に料理し、食べていた。
 それがこんなに後悔することになろうとは・・。
 妊婦禁忌薬の中に、ビタミンA過剰、という項目があった。
 ビタミンA。主にレバーなどに多く含まれる。サイト上ではビタミンA製品を過剰に摂取した場合、奇形発現の危険が増加した、とある。薬やサプリメントではないが、食物から摂った場合でも同じだろう。妊婦の上限、五千IUとなっている。
 恐る恐る別のサイトで、あんきものビタミンA含有量を調べてみる。
 百グラムあたり二万七千IU。
 めまいがした。
 元のサイトに戻る。
 外国において、妊娠前三ヶ月から妊娠初期三ヶ月までにビタミンAを一万IU/日以上摂取した女性から出生した児に、頭蓋神経堤などを中心とする奇形発現の増加が推定された、と書かれてある。
 私は大事な器官形成期に、一日あたり二万IUは食べていた。
 薬どころの騒ぎではなかった。はっきりと、催奇形性がある、と記されている。始まりは抗生剤だったのに、調べれば調べるほど、芋づる式に危険因子が明らかになってくる。
 また別のサイトで、ビタミンAを服用しなかった妊婦と、連日一万IU摂取した妊婦とでは、奇形胎児の確率が三・五倍となった、という表示があった。
 三・五倍。
 通常の、何も服用しなかった妊婦さんでも、奇形胎児を産む確率は三%あるという。単純計算で、お腹の赤ちゃんの奇形の可能性は十%位。
 十人に一人。
 そんなに簡単に計算できるものではないだろうが、その可能性の大きさについてしばらく考える。
 問題のある子だったら・・・。
 もし症状が重度の場合、仕事を辞めて、一生一日中、我が子の世話をすることになるかもしれない。春ちゃんも、産まれてくる弟か妹のことで、悩むことになるかもしれない。私が死んだ後、その子はどうなるのだろうか。第一旦那の収入だけで、生活はやっていけるのだろうか。
 最悪の可能性が次々浮かんでくる。
 パソコン画面に、堕胎・可能時期、と打ち込んでみる。こんな事を調べている自分自身に嫌悪感を覚える。だが、もし問題のある子だったら・・!
 しかし私の不注意で食べてしまったもののツケを、赤ちゃんに払わせて良いものだろうか。健康にすくすく育っているところ、次から次へと毒素を送り込まれ、ついに問題が生じてしまっているとしたら・・。
 百%悪いのは私だ。
 倫理問題なんて、あまり考えたことはなかった。「生命の選択」なんて、別の次元の話だと思っていた。
 元気だったら望んで、それ以外だったら欲しくないなんて、エゴでしかない。
だけど・・・!
 
 その時、丁度近くにいた旦那に、ビタミンAの危険性を告げる。
「食っちまったものは仕方ないだろう」
 ・・・それだけ?だって二人の赤ちゃんだよ、もっと考えてくれたって・・。
「仕事中に遊んでいるんじゃない」
 パソコンから立ち退かされてしまう。遊んでいるように見えたのか?
 数日前から、旦那に対する不満がつのっていた。別にドラマみたいに、きっと大丈夫だよ、と言って抱きしめられることを望んでいるわけではない。ただもう少し、お腹の子について話し合いたかった。
 私が春ちゃんの横で声を殺して泣いているとき、旦那はテレビをみて笑っていた。

 
 産院で先生に相談してみよう。
 予約はしていなかったが、次の検診まで約二週間、黙って待つには長すぎた。電話して、薬の相談だけですが、と無理して時間をとってもらう。
 幸い担当医の先生の診察の日だった。
 この間話した薬以外の服用薬と、あんきもについて説明する。
「あんきもか・・うーん」
 薬については調べた内容と同様の説明をしてもらった。禁忌薬=催奇形性が高い、という訳ではない。この服用が原因となる堕胎手術をすべきではない、と専門書に書かれているのを見せてもらった。
 問題はやはり、ビタミンA過剰症だ。食べた量は、明らかに多すぎた。だがあんきも食べ過ぎました、なんて相談はじめてなのだろう、先生も困っている。「もし知りたいなら、専門機関に問い合わせることもできますが・・」
 そう言って出された書類は、先程まで見ていた妊娠と薬について、ホームページを持っている病院のものだった。担当医への情報公開もしてもらえるらしい。
「それで、どうします?」
 あらたまって、先生に聞かれる。
 どうする、とは堕胎するか否か。
 言葉に詰まる。
 もう既に十四週、手術するのであれば、可能期限が迫っている。
「・・・明らかな異常がなければ、産みたいんですけど」
 それしか言えなかった。今のところエコー上では異常は見あたらないらしいが、まだ七、八センチの赤ちゃん。画面だけで健康体かどうか、判断などできるわけない。産みたいけれど・・迷いが生じる。
 せっかくだから、と見せてもらった3Dの赤ちゃんは、可愛かった。本当に、愛おしかった。

 妊娠と薬の専門病院への紹介状をもらい、自宅に帰り書類に記入をはじめる。
 服用した時期と、薬の種類、数。安全だったもの危険性があったもの含め、あわせて十二種類も飲んでいた。特記事項の覧に、あんきもについて書く。
 一日七十から百グラム、八週と十週の時期にそれぞれ一週間連続摂取していた・・と。
 手が震える。何度思い返しても、なんという迂闊さだったろう。妊婦が食べて良い上限の五倍以上を、何の疑問も持たずにうまいうまいと毎日食べていた。吐けるものなら吐き出したいが、もうとっくに分子レベルまで分解、吸収されている。
 書き終わると、もうその日の収集時間は過ぎていたが、すぐにポストに投函した。

結果が産院に郵送されるのは、約一週間後だという。
 それがあまりに悪かった場合、私はどうするのだろう。自問自答の日々。
 旦那に意見を聞いてみたかったが、
「だから食べてしまったものはしょうがないだろう。食い過ぎなんだよ、お前は」
 と、それ以上話が進まない。


 お腹の子は、例え障害があっても生まれてきて良かった、と思えるのか、それは親の私達次第か。
 春ちゃんは可愛い。春ちゃんみたいな子が生まれてきてくれたら・・。
 でもさんざん薬を飲み、ビタミンAを摂り過ぎ、そういえば胸とはいえ、レントゲンを二枚も撮り、放射線をあびていた。健康な子を望むのは贅沢なのかもしれない。
 数秒なら立てるようになった春ちゃんを支えながら、今日こそ旦那とじっくり話そう、と決意した。もうすぐ結果の出る日が近づいていた。


「ばーばばばー。ばぶ」
「お、バブって言った!赤ちゃんらしいねえ」
 親ばかたっぷりに、旦那は春ちゃんと遊んでいる。
「ねえ、話があるんだけど」
なるべく緊張を抑え、話しかけた。もし旦那に堕ろそう、と言われたら私はどう反応するのか、まだ自分でもわからなかった。
「これを最後に、もう薬についてもあんきもについても何も言わないよ。・・もし、問題のある赤ちゃんが生まれる可能性が高い、と言われたら、赤ちゃん、堕ろす?」
 旦那は即答した。
「堕ろさない。そんなこと、考えたこともない」

 すとーん、と心が軽くなった。
 ああ、そう。考えたこともないなら、食っちまったもんはしょうがないだろ、の一言ですむよね・・。
 今まで悩んでいたのが馬鹿馬鹿しくなるくらい、気が楽になった。
 旦那は相変わらず春ちゃんと遊んでいる。

 翌日産院から電話が来た。先生からお話がある、とのこと。
 時間を作り、話を聞きに行く。
「結論からいうと、やっぱりあんきもは問題みたいなんだよね」
 まず以前説明してもらった薬から、一つ一つ丁寧に話していただいた。それらにはやはり大きな危険はないということ。だが、ビタミンAについてはかなり歯切れが悪かった。
「海外の文献なんだけどね、一万IUの摂取で奇形児が生まれたという報告もあれば、二万五千IU、中には五万IUというものもある。どれくらい食べたらどの程度の確率で危険があるのかは、はっきりわからないみたいだね」
 それはそうなのだろう。まさか人体実験する訳にはいくまい。私のように偶発的に摂取して、しかもそれを報告する人間のデータが揃わなければ、はっきりとしないのだろう。アメリカは日本よりもレバーを食べる食文化のため、ある程度のデータがあるらしいが、それも学者によってまちまちなのだ。
「それで、どうします?」
 改めて聞かれる。
 でも、私たちの心は決まっていた。
「産みます」

 もうすぐ、妊娠五ヶ月に入る。
 今は、お腹の赤ちゃんと、春ちゃんと、言葉の足りない旦那と毎日を過ごしている。


                 

これは、妊娠中、自分の心の整理をつけるために書いた文でした。
そして今、長女、はるぼう、生まれた次女、さらぼうは元気にすくすく育っています。
今妊娠中のママのアドバイスに、少しでもなれば良いな〜と思います






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ハルサラママ   2009-10-20 19:18:19 提供:株式会社プロローグ

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