『本を読まない人のための出版社 サンクチュアリ出版 友友会』
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この世で一番大切な日著者:十川ゆかり発売日:2011年4月24日定価:1260円発行・発売:サンクチュアリ出版書籍「この世で一番大切な日」より公式サイト http://www.sanctuarybooks.jp/birthday/
■見知らぬおじさん 離婚するとき、私は妻と2つの約束をした。ひとつは年に一度、娘の誕生日だけは会いにき
てもいいということ。もうひとつは、そのときに自分が父親であるという事実を娘には明かさないでほしいというこ
と。自分が父親だということを言えない。それは私にとってつらい決まり事ではあったが、娘にとってはそれが最
良の選択だあることもわかっている。
年に一度、娘の誕生日を一緒に祝えるだけでも感謝しないといけない。 それ以来、娘の誕生日にはプレゼントを
買い、ふだんは着ないスーツを着て母子に会いにいった。元妻は私のことを「遠い親戚のおじさん」と紹介した。
娘も冗談なのかなんなのか私のことを「見知らぬおじさん」と呼んだ。 娘が小学校にあがる年のことだ。例年通
り私がスーツを着てプレゼントを持って母子のもとを訪れると、元妻から「もう会いに来るのは最後にしてほしい」と言われた。そろそろいろんなことを理解してしまう歳だからと。それが理由だという。私にはわかっていた。新し
いことがはじまろうとしているのだ。娘にもやがて一緒に誕生日を祝う同級生ができるだろう。
元妻は、再婚を考えているかもしれない。そんなところに "見知らぬおじさん" がいてはいけない。 それ以来、母
子と会うことはなくなった。だが娘の誕生日だけはどうしても忘れられず、毎年プレゼントだけは贈り続けた。筆
箱や本などささやかなものを、差出人の欄になにも書かず送った。それを元妻が娘に渡してくれていたかどうか
はわからないが、ただ「娘の誕生日を祝う」という行為だけが小さな楽しみになっていたのだ。 それも、娘が中学
生になる年にはやめようと決めていた。娘からすれば私は知らないおじさん、こうしてずっとプレゼントが届いて
も迷惑だろう。娘には新しい未来がある。私も別の道を歩まなければいけない。ただ娘の幸せだけを願い、英語の辞書を送って最後にした。 それから一ヵ月ほど経ったある日、私のアパートに郵便物が届いた。 差出人の欄
にはなにも書かれていない。 小さな箱を開けてみると、中から出てきたのは紺色のネクタイピンとメッセージカー
ド。メッセージカードを開くとそこには初めて見る可愛らしい文字が並んでいた。 その瞬間はっとした。 その日は、父の日だった。
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私も離婚してもうすぐ3年 元夫からは まーーつたく会わして欲しいなどないけど 気になる本 です
yuzumiyu 2011-04-29 07:41:02 提供:株式会社サンクチュアリ・パブリッシング
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