スリー・カップス・オブ・ティー著者:グレッグ・モーテンソン販売元:サンクチュアリパプリッシング発売日:2010-03-25おすすめ度:クチコミを見る成人してから、TVだけを集中してみる事がなくなった。TVを見る時は、いつも何かしながら。たまにTVだけを見ていても、何時どのチャンネルをつけても同じ事件について、同じような事を言っている。頭に入ってこないし、長く記憶に残る事もない。TVの中の世界は、わたしの生活する世界とは違う。この本を読み進めるうちに、TVの世界は、ますますもやがかかったように曇り出してしまった。一緒に挫折感を味わったり、わくわくしたりするような、グレッグ先生のK2登山や、パキスタンに学校を建てるというライフワーク。話し合いの度に出てくるお茶を飲んでみたくなった。おおまかなレシピは登場するけれど、巻末に詳しく紹介されていたら・・・。わたしの、イスラム教徒への誤解。名前は覚えにくいけれど、響きの美しい名前を持つ、善良なたくさんの人たちに、親近感を覚えたり、会ってみたくなった。イスラム教の中でも、学校で習うだけでない、たくさんの宗派があること。TVがどんなに易しく解説してくれても、頭が理解しようとしなかった世界の構造が、砂漠に水がしみ込むように、すっと理解できた。ただそれが、本を読んでの理解でしかないことも。私は、報道に「素直である」自分に疑問を持ったし、ますます、私にはTVの音声がはっきりと聞こえなくなった。長いながいこの本を読み終えたとき、わたしはどこか夢心地だった。巻末の写真を見て、本当にハジ・アリはじめ、グレッグ先生を支えた人たちがいたんだと思えた。ただ、オサマやタリバン、ワッハーブ派について、もう少しページが割かれていたら・・・と思った。情報は偏っている。真実を見るには、自分の目を開いて、足を使って、確かめに行かなきゃならない。でも、今のわたしが行動に移せる事ってなんだろう?わたしは、活動を始めた頃のグレッグ先生のようにお金を持たず、日々の生活がやっとの暮らしをしている。病気がちで親に苦労をかけ、大学まで出させてもらったのに、語学も、知識も、何の技術も持たない。先生のように、看護したりすることも出来ず、勉強した事は、全て忘れてしまっている。それがすごく、悔やまれた。私が過ごした学生時代は、一体なんだったの?それでもこの本のタイトルが、「パキスタンに学校を作るアメリカ人」でも、「イスラム世界に架け橋を〜グレッグ・モーテンセンの挑戦〜」でもなく、「スリー・カップス・オブ・ティー」なのは、幾度となく立ちはだかるたくさんの困難を乗り越え(特に金銭面では、自分のことのようにハラハラした)、何度も何度も、パキスタンの小さな村に訪れたグレッグ先生に、たくさんのバター茶を飲みながら大切な相手とは、時間をかけて話し合い、村人の声に耳を傾けなさい、というハジ・アリの教えを、グレッグ先生が大事にしているからだろう。その相手と家族のようになるまで、人間関係を築くのに焦らないこと。私にも、これは効いた。どんな事にでも,人間関係ですら、急いでしまっている。深く反省した。私が何をできるのかは、まだわからない。でも、まずはもっとお金を稼ぐ手段を見つけて、何か人の役に立つ勉強を始めようと思う。グレッグ先生のように、私も、いつか何かを成し遂げたい。それが活かせる頃には、おばあちゃんになっているかもしれないけど。すべては、うまくいくはず。インシャッラー、神がお望みなら。サンクチュアリ出版 友友会ファンサイト応援中
投稿日時:2010/04/23
: 「すべてはうまくいっている!」
提供:株式会社サンクチュアリ・パブリッシング