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それに伴うブログのテーマは、

「雨にまつわる思い出・エピソード」

タイトル：雨には負けない！！

去年まで、車で1時間くらいかけて、隣の町まで、毎週金曜日の夜に、
路上ライブをしに行っていました。

アーケードのある商店街で、金曜の夜となるとそこそこ人通りがあるので、
立ち止まって聴いてくれたり、はたまたCDを購入してくれたりと、
なかなかに充実したストリートライブを毎週展開させていました。

路上で歌う！！と言う事は、生ものなので、その時の天候、
状況、風、すべてが影響してきます。

冬は寒くて、手がかじかんで、なかなか思うようにギターが弾けなかったり、
夏は暑さゆえ、喉がべたついて、声が通らなかったり、
歌う場所を柱のないところにすると、かえって声が響かなかったり。

同じように雨の日にも色々と不都合、好都合があります。

まず雨だと雨宿りがてら、人がたくさん聞いてくれるって言う事。
でも、それと全く逆に、雨だから人が街に出ていないと言う事もあります。

去年の梅雨の時期に、いつもと同じように路上ライブをしていました。
その日は、雨と言うよりも、嵐に近い天候で、
道行く人達も、早く家路に向かう足取りで、あんまり周りの反応が
思わしくありませんでした。

ある程度遅い時間になってきて、今日はもうこれ以上歌っていても、
無駄な気がしてきたので、そろそろお開きにしようと思っていた頃に、

その日一番の強い雨が始まりました。
すさまじい音を立てて、大きな雨粒が落ち始めたのです。

そうすると、アーケードに人がいっぱい集まり始めました。

気がつくと、時間をもてあました人達の群れが私の周りに出来ていました。

どこからともなく

「頑張れっ！！」

と言う掛け声がします。

「負けるなっ」

と、たくさんの声援を受けながら、

私は雨に負けない思いで歌いました。
雨のすさまじい音が、私の歌を聞こえなくします。
自分自身でも、自分の歌声が聞こえず、ギターの音を聞き取れず、
イライラした気持ちになってきます。
一生懸命聴こうとしました。

自分の音に耳を傾けるのですが、聞こえてくるのは、雨の降りしきる音と、
人々の話し声ばかり・・・・

駄目だ・・・もうこれ以上歌えない・・・
って思っていた時、

一人の男の子が体を揺らしながら、リズムを取りながら、
私の前を歩いて行ったのです。

それはまるで外からの世界をシャットアウトした、別の世界に居るような
顔で、笑顔で横切っていったんです。

彼の耳には分厚いヘッドホンが付いていました。
シャットアウトの原因は、これだったのです。

ヘッドホンから流れる音楽が、今の彼の世界だったのです。

これだ！！と思いました。
私は透明のヘッドホンを装着したのんです。

大粒の雨が一定のリズムを刻み、やがて
それがドラム音のように感じられてきました。

始めは雨に負けない気持ちだったのが、
やがてそれに合わせて歌うようになりました。

そうすると、今までただ煩かった雨の音に、
なんだかベールがかかったような、
まるで少し遠くで、私の歌を応援してくれているような、
そんな心地よい音に変わっていったのです。

ギャラリーの皆も自然に音に合わせて、手拍子を打ち始めました。

雨がドラムに、
手拍子がタンバリンに、
時折響く足音が、シンバルに・・・

すべての音が溶けるように、音楽になっていったのです。

そんな感覚は始めてでした。

私は違う世界に居ました。

音楽しかない世界に居ました。

平和がありました。

気がついたら私の周りには、今までに見た事もない数のギャラリーが出来ていました。

私はまた一つ壁を越えたのです。

その後に例えそれよりも大きな壁が待っていようとも・・・


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エミリー 　 2009-07-09 08:02:18 提供：フヨウサキナ