雪の成人式（yumika♪さんの口コミ（クチコミ）・レビュー）

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雪の成人式

白き雪舞う　成人式
昨日、息子が帰ってきた。
黒い機体のスターフライヤーで北九州空港に着いた。

神奈川に住所を移しているのだが
福岡で小さい頃から一緒に育った友人達と一緒に
晴れの日を迎えたかったようだ。

帰ってきてすぐに
足らないものがあり一緒に買い物に出かけた

美容室にも行ってみるも、予約が取れず入れなかった。

1ヶ月前に切ったらしいが長くて、ゲゲゲの鬼太郎か？？？と思うくらいの髪
結局私が切ることにした。

息子が小さい頃から私が髪を切っていたが
成人式の前日にまで私が切ることになるとは思わなかった。

すきバサミを使って、かなり短くした。
トップも、もみ上げも、襟足も長めにし
ヘアワックスで、トップから後にかけて
髪がツンツンとも立てられるスタイル。

前回美容師さんに切ってもらった時に教えてもらったように、
前髪はクセのある内側の毛を短くカットしたので
おでこにピッタリとくっつかず、自然と浮くように仕上がった。

成人式の前日に息子の髪を切って
いい想い出になった。

生まれてから成人式まで
この子の髪を何度切らせてもらったことだろう。

この子が生まれ、初めて切った髪は、筆に仕立てたっけ。

小さい頃美容室に連れて行った時も、私の姿が見えないと不安がる
結局TVやアニメビデオを見せながら自宅で髪を切った。

中学生、野球部に入りバリカンで五分刈りにした。

塾で遅くなり、明日の頭髪検査までに切らなければいけないけれど美容院も開いていない。
そうするのが一番時間的にも楽だったけれど
思春期にも関らず、よく嫌がらずに切らせてくれた。

高校に入り、近所の友達のお母さんがやっている散髪屋さんに行くようになった。
私が散髪する機会も無くなった。

そんな小さい頃からのことを思い出しながら、髪を切っていった。

何とか髪が仕上がった。

ゆっくりお風呂で洗った後

夕方にお寿司を食べてきたらしく
常夜鍋とホタテのソテーをつまみに
オーストラリアのスパークリングワインの赤で乾杯し
簡単な夜食をとった。

朝、お祝いの「お赤飯」を炊き
お正月に食べなかった「お雑煮」を作った。

鶏肉と干ししいたけ・昆布・焼きあごで出汁をとり、酒とみりんと塩で味付けし、醤油で少し色をつけた。
実家で採れた白菜・ほうれん草・人参、茹でて皮を剥いた海老
母が作った白と蓬が入った緑の丸餅を茹でて、有田で買った器に入れた。

飲んだ翌日には、お雑煮のこういうあたたかい汁が五臓六腑に染み渡る。

式は11時から。
お餅とお赤飯を食べていると、お腹の持ちもいいだろう。

そして食後、これから式に行く息子に
一杯の薄茶のお抹茶を点てた。

これから式を迎えるために、一杯のお茶を飲む
心も落ち着くだろう。

息子の友人達が迎えに来た。

いつも遊びに来ていた子たち
「お久しぶりです」と、立派になった姿を見せてくれた。

部屋に置いてあったサッシュベルトや蝶ネクタイ・クロスタイを不思議そうに眺めていた。

「バブルの頃に流行ったのよ～、知ってる？アラブの富豪みたいなベルトでしょ？」と言ったら
「僕達、バブル崩壊後に生まれた質素世代の申し子ですから!!」と返され、笑った。

「これって、どう使うんですか？」と尋ねられたので
息子をモデルに着せてみた。

そんなやりとりをし　ひとしきり笑った後

息子は、私が選んだ白いカッターシャツに袖を通し、ストライプ柄の赤いネクタイを締め
亡くなった私の父が買ってくれた黒のスーツに身を包み
黒いマフラーをし　黒のコートを着た。

頼もしく成長した3人の若者たちが
白い雪が舞う中　傘をさして楽しそうに話しながら　
成人式に出かけていく　その姿を　この家から見送ることが出来る幸せ。

3年前　成人式を迎える半年前に
突然に永遠の旅立ちをした長男の遺影の前にも
大好きだった海老が入ったお雑煮とお赤飯をお供えした。

私の成人式の日も、雪だった。
電車も動かないような大雪の日で
実家には帰れず、成人式にも参加できず
子供の頃からの友人には逢えずじまい。

楽しみに待っていただろう父母にも晴れの姿を見せられず
すまないことをしたと思う。

今日は大雪
日本のどこかには、そんな思いをしている
今日成人式を迎える若者達がいるかもしれない。

楽しく笑う　新成人たち

そして、成人式を迎える子供を誇らしげに思い
ここまで育てきったことを心から満足に思う親の姿がある

人生の区切りの日
灰色の空から無数に降ってくる白い雪のように　
様々な思いと感慨が　私の心にも　そっと降ってきた。

嬉しい涙
悔しい涙

この寒き日に　空から舞い降りてくる　この白い雪たちは
「おめでとう」の言葉に代えて
天の国へと旅立った人たちから零れ落ちた　結晶なのかもしれない。

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