私は、遠い昔 クレーム対応の仕事をしていました。










大きな会社の総合案内フリーダイヤルでの電話対応。








お礼の電話もあれば、変態電話、受話器をとるなり喚き声で耳が痛くなるような電話…










ほとんどは簡単な問い合わせで通話時間は１分程度ですむようなもの。










私が心に残っているクレームの電話のひとつに、こんなものがある。










ある時期、お得なキャンペーンをしていて チラシを見たお客様は 注文時にキャンペーンコードを告げると、








割引価格で買い物ができるというキャンペーンだった。










このキャンペーンコードというのが厄介で…










システムがよく分からないお客様は、このキャンペーンコードを言わずに普通に注文してしまうため








商品が届いてから、明細書を見て 割引がされていないことに気がついて総合案内に電話をしてくる。










私が勤めていた会社は、マニュアル第一で(たぶんどこの会社もそうだろうけど)










どんなにご立腹なお客様でも、穏やかなお客様でも、注文後にキャンペーン適応することはできないことになっていた。








私はマニュアルに基づき、丁寧にキャンペーン適応はできないとお断りした。








最初は穏やかだったそのお客様、キャンペーン適応にはならないと案内したとたん ヒステリーになってしまった








そして、「おたくの会社なんて二度と利用しないからっ！！！」 と、一方的に電話を切ってしまった。








私は、一応このお客様のことを上司に報告した。








すると、電話ではお伝えすることができなかったお詫びの言葉を 手紙に書いて送るように指示され、








マニュアルに基づき、お詫びの手紙を書いていた。








頭を悩ませながら手紙を書いていると、同じ課の○○さんが 小さなメモ用紙を持ってやってきた。








見てみると、さっきのお客様だった。








話を聞いてみると、なんと そのお客様 私に謝りの電話をかけてきたとのこと。








電話のときは、ショックでヒステリーを起こしてしまったけど、キャンペーンコードを伝えなかった私が悪かった、これからもずっと利用したいから さっきの担当者に謝っておいてと、言っていたそうな。










私は再度そのことを上司へ報告。










私も上司も、笑っていた。










私は、そのお客様に キャンペーンの仕組みが分かり難く お客様に不快な思いをさせてしまったことのお詫びと そのあと貴重な時間をさいて「これからもずっと利用したい」と、電話をしてくださったことへのお礼を手紙に書き、キャンペーン価格に訂正した請求書を添えて 郵送した。










お礼の電話は、とてもありがたいし、企業の誇りだと思う。










だけど、クレームの電話も とてもありがたい電話だと思う。








成功より失敗から学ぶことの方が何倍も大きいというように、








お礼の電話よりクレームの電話から学ぶことの方が何倍も大きいのだ。










私は、怒って電話を切ったあと また電話をかけてきて謝ってくださったお客様を 素敵な人だと思った。










そして、ずっと忘れずに覚えている。










謝ることって、結構難しかったりする。










素直になるのって、大人も子供も 難しい。








私は このお客様から「謝ること」の大切さを学んだ。











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flower 　 2013-12-11 19:44:12 提供：ビーバンジョア株式会社