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>母姫物語①




私の母はなかなかなお嬢様で、
年の離れた父に大事にされ過ぎてしまった母です。
 
そのため、記憶にあるは、おふくろの味ではなく
おやじの味。
 
暇さえあれば小鳥を愛で、ペット可愛さに、鳥かごにいれるのを可哀想がり、
自宅に放し飼いする無法者。
 
暇さえあれば、歌を歌い、ピアノを弾き、
多趣味で、家事は父に任せて毎日、やれスポーツだ、習い事だと
多忙な日々。
 
そんな母を、最近私は心の中で母姫と呼ぶようになりました。
 
だって。。。

先日は、暑い中一緒に歩いていたら、母がふと後ろで言いました。
「くみたろうちゃん（実際は本名で呼んでます）、重いのー、持ってー。」
はいはい、私は元気、母姫はお年。もちろんなんでも持ちますよ、何を持つの？
と振り返ったら、彼女が差し出したのは、、、、
日傘。
 
日傘。。。
 
母姫「重い～。」
 
え。
 
日傘、させと。
 
っていうか、他の荷物のほうが重いと思うけど、バッグとかじゃなくて、
傘のほう？？？
 
条件反射で受け取りさしましたが、
それはまさに、姫と下僕の構図。
 
ちがくない！？！？
 
でも心優しい長女のくみたろう。
我慢して、歩き始めました。
が、ふと気づくと、歩幅が違うから、
ソーシャルディスタンスで私は日傘に入っていないし、
傘だけ真横に突き出してる変な私と、日傘に遠くおよばない母姫。
 
母姫・・・追いついて！！！
 
私「遅くない？」
 
母姫「遅くないわよー。あなた元気ねー。」
 
私「暑いから早く歩かない？日傘、私は入ってないし、なんだったら、二人とも入れてないし、不合理じゃない？」
 
母姫「えー。」
 
私「そのバッグ、持つから、そっちの荷物も持つから、日傘は自分で持ってください。」
 
母姫、にっこり。
 
しまった・・・そこが着地点だったか！！！！
 
まんまと母姫の頭脳戦に負けたくみたろうでした。
 
下僕くみたろう、大荷物を両手に、自慢の上腕二頭筋をフル活用している一方で、
絶対急がず、日傘をさし、優雅にほほ笑みながら歩く母姫に完敗。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
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kumitaroh 　 2020-09-09 00:00:00 提供：株式会社シーヴァ