お父さんへ。


お父さんへ手紙を書くのは初めてですね。
お父さんはバリバリの商社マンでいつも１年のうち３分の２は日本にいませんでしたね。
小さいころ、お父さんが帰ってきても、わたしが知らないおじちゃんだと思って、ふすまをバタンと閉めた、という話も、当時はショックだったみたいですが、今では笑い話ですね。
滅多に会えなかったお父さんでも、わたしは大好きでした。お父さんの後ろ姿を見ていたから、わたしもアメリカへ留学して英語が話せるようになったし、いい大学へ進学して、一流企業へ就職することもできたんですよ。


でもわたしが社会人になり、お父さんの後ろ姿を追うかのようにバリバリ仕事をしていた矢先に、お父さんの胃ガンが発覚しましたね。定年退職まであと２年の５８歳のときでした。


バリバリ仕事をしているわたしに悪いから、と手術をしたこともガンだってことも何も教えてくれませんでしたね。すべてが事後報告でした。


でも・・・お母さんから連絡があった時、実は受話器を握りしめながら、涙を流していたんですよ。内緒にされていたことがショックだったというのもあるけど、何よりも大好きなお父さんの手術が無事に成功に終わったってことにほっとしていたんですよ。


何でもできるお父さんの命は永遠だと勝手に思いこんでた。
でもお父さんは鉄人でもスーパーマンでもなんでもなく、ひとりの人間だってことを改めて認識したんだよ。


この時以来、親孝行はしないとダメだって深く深く肝に銘じました。


親は子どもより絶対早く死ぬ。
よっぽどのことがない限り、この順番は変わらない。
いままで大切に育ててもらった分、お父さんにも楽しい余生を過ごしてほしい。


だから・・・


お父さん、ありがとう。
いつまでも元気でいてね。

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momohana 　 2009-06-08 01:09:05 提供：ハウスウェルネスフーズ株式会社