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プラスチック工場で働く律子には親しい友人もいず、夫とは寝食を別にする家庭内別居状態が続いていた。そんな中、妊娠中の千夏が工場に入社してくる。千夏と親しくなった律子だが家では夫に冷たくされ、幸せそうな千夏が憎らしくなってくる。しかし、その背景には律子に起きた過去の不幸な出来事が関係していた[上映時間:88分]
DVD発売を記念した試写会に、モニプラさんの招待で鑑賞してきました。
釜山国際映画祭でグランプリ、第30回ぴあフィルムフェスティバルグランプリを獲得した作品。
R18指定になっているのは出産シーンが無修正で使われているから。あとから知ったのですが、千夏役の女優・今野早苗は監督の妻で、彼女の本物の出産シーンが使われているんだそうです。
この映画、ともかく台詞も音楽もとても少ないです。
田んぼの中にぽつんとある衛生管理が徹底したプラスチック工場で、機械と同じように淡々と作業する毎日。夫と二人暮らしだがある出来事がきっかけで既に二人の関係は壊れきっていた。食事も別、寝室も別、家に帰って来ても「ただいま」の一言もない冷めきった夫婦。律子は傷つかないように、何も求めないように本当に機械のように生きていた。
そんな律子の前に現れた妊婦の千夏。彼女は既にお腹が大きい状態だったが、定職に就いていない夫との生活の為に、律子が働く工場へパートとしてやってきたのだ。
決して楽しくはない毎日。
同じことの繰り返し。
嬉しいことも悲しいこともない日々。
そんな律子の日々に変化を与えたのは素朴で無邪気な千夏。
彼女は、工場で働く前に偶然会って親切にしてもらった律子を慕い、一生懸命働く。そんな千夏に丁寧に仕事を教える律子。いつの間にか二人の間に絆が生まれ、律子は今まで誰にも言えなかった過去の出来事を千夏に打ち明け、何も望まないようにしていた日々を変えようとするのだ。
しかしそう簡単には変わらない夫婦関係。
律子がいくら求めても手に入れることのできない幸せ。
機械のように生きてきた律子が、千夏と出会ったことで人間らしい感情を取り戻すのですが、それが一概に彼女の幸せになるわけではない。
人の感情というのは複雑で、幸せや希望を感じることもあれば、絶望や苛立ちを感じることもある。今まで閉じ込めてきた喜怒哀楽が彼女との出会いで一気に噴き出した律子。自分には手にいれることのできない幸せを、夫からの愛情をたっぷり受けている千夏を嫉妬してしまう。そして千夏の無防備さがその嫉妬をさらにに醜いものへ変えていってしまうのだ。
面白いのは律子の感情の変化。
最初は重い荷物を持っていた千夏を純粋に助けてあげようとし、幸せそうな千夏の姿を優しく見ていたはずだった律子。しかしそれがいつしか千夏の幸せがうらやましいというよりも憎くなり、千夏に苛立ち、その幸せを壊したいと思うほどにまでなってしまう。幸せそうな千夏を見るだけで苛立ちが募ってしまう。台詞はなくてもその律子の心の変化が手に取るように伝わってきます。
今までずっと心のに閉じ込めてきた感情。欲しいものも望まないように生きてきた律子。決して傷つかないように。けれども千夏と出会ったことで、希望を持ってしまったせいで、傷ついてボロボロになってしまった。律子の中では千夏のせいではないとはわかっていても「どうしてくれるのよ」という気持ちがあったのだろう。自分が手に入れることのできないものを当たり前のように持っている千夏を憎んでしまう気持ちを抑えることができない。
律子に醜い感情をいただかせたのは千夏の無防備さ。けれども同時に律子に過去と向き合う勇気を、そして再生の道を切り開いてくれたのもまた、千夏の無防備さだったのではないだろうか。
新しい生命というのは何にも勝る尊いもの。殺意を抱くほど憎んだ彼女を救う為に、律子は今まで決して乗り越えることのできなかった壁を乗り越えようとするのだから。新しい命の誕生を目の当たりにしたことで、きっと律子にも希望の光が見えたはず。
対照的な二人の女性を描くことで、人間の心の闇と光を描いた作品でした。
試写会(@シネマート六本木)にて鑑賞
★★☆
※4/2にDVDが発売になりました。
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