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「裁く技術」抜粋版を読んで

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 モニプラさんのプロジェクトで、これから出版される


『裁く技術 無罪判決から死刑まで』  (小学館101新書)を読んでの感想です。


「裁判マニュアルの決定版」というのが、この本のキャッチフレーズらしいです。


 すでに発車されてしまったにも係わらず、ワタシを含め多分ほとんどの人が、分からないことだらけの裁判員制度。


 確かにマニュアルが必要です。


「裁判員に選ばれるなんて宝くじに当たるくらいの確率なんじゃない? 多分ワタシには回ってこないわよ」と思っているのは~どこのどいつだい? 


 ワタシだよ! 


 でも、今年の裁判員候補者の数は35万人。これからは毎年30万人を越える人々に通知が贈られてくるそうです。


 約28年で20歳以上の日本国民に、ぐるりと全員一回りするという構想。


 誰でも、いつかは裁判員候補者通知を受け取ることになるという覚悟でいてください。




 本書は、「裁く技術」というタイトルの通り、犯人かどうか決める技術、懲役年数を決める技術、死刑かどうかを決める技術に多くのページを割いています。


 しかし、当然のことながら、この「技術」というのは、これまでのプロの裁判官が用いてきた技術です。


 何故、裁判員制度という、面倒くさくて、費用もかかり、最悪の場合、裁判員たちのプライバシーや命まで奪いかねない制度が必要になったのかということを考えてください。


 今までのプロの裁判官たちの判決が、ワタシたち一般の感覚と大きく掛け離れてしまったからではありませんか? 


 本書の抜粋の中にも「被害者が一人の場合には、むしろ原則的に死刑回避……」という基準が揚げられていますが、ワタシには、何故、人を一人殺したのに原則的に死刑にならないのか分かりません。


 この基準でいうと、今、ニュースになっている市橋達也容疑者も、英会話講師の英国人女性リンゼイ・アン・ホーカーさんを殺したと裁判で明らかにされても、死刑にはならないということです。


 日本政府は、英国のリンゼイ・アン・ホーカーさんの御家族に、「あなたの娘さんを殺した犯人は死刑にはなりません。なぜならば、犯人は、リンゼイ・アン・ホーカーさん以外の人を殺してはいないからです」と、言うのでしょうか? 


 人一人を殺した犯人を死刑にしたかったら、もう一人の生贄が必要なのでしょうか? 


 人殺しの命の重さは、罪の無い人ふたり分と等しいのでしょうか? 


 裁判員制度で選ばれた裁判員の方には、普通の人の感情を大切にした判断をしていただきたいです。


 ワタシが、このような裁判員のハウツー本に求めるのは、普通の人が普通の感情をいかに大切に出来るかという技術です。


 例えば、犯人や犯人側の報復を恐れずに発言する技術、プライバシーを守る技術、裁判員に選ばれてしまったが為に自分が犯罪者にされてしまうリスクを避ける技術です。


 ワタシが読んだのは抜粋版なので、抜粋されていない部分に、そういうことが書いてあるのかも知れませんね。

メダカ   2009-11-20 20:16:49 提供:株式会社 小学館

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