【木の家】ペットたちと憩う家　／重量木骨の注文住宅｜重量木骨の家ファンサイト

商品説明

暮らし拝見　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　木の家　MyStyle vol.31

ペットに優しい家は人にも優しい住まい

　 Ⅰ邸にはネコ8匹とⅠさんご夫婦が暮らしています。以前は雑木林を眺望する借家で暮らし、環境には大満足だったそうですが、18年半一緒に暮らしたイヌを看取ったことを機に“ペットも暮らしやすい家を建てよう”と決意したそうです。
そして土地には、里山景観を求めました。里山とは都市と自然の間にあり、古くから人が利用してきた森林をいいます。Ｉさんご夫婦は埼玉県中央地域で希望に叶う場所を探しましたが、出合いはなかなか訪れず、結果的に2年以上を要したといいます。そしてようやく、高台にある、斜面林の織りなす豊かな里山景観が広がる現在の土地に巡り合いました。

「緑地に隣接しており、将来的に緑地環境が変わらないこと。駅から徒歩1時間圏内で、徒歩25分以上かかる場合は近隣の駅までバスが運行していること。これらからもわかるとおり、私たちが暮らしたい場所はいわゆる“売れ筋”じゃない。だから大手不動産流通業者では手に負えなかったんでしょう。注文シートを送った途端に連絡が来なくなった会社は何社もありました（笑）。最終的に粘り強く探してくれたのは工務店だけでした」

階段は通常より1m50cmほど長い。コーナーには薪ストーブが置かれ、部屋中を暖める。

雑木林に囲まれて、里山に抱かれるような景色に

　そしてＩさんご夫婦は、ページ下図のような変則的な形の敷地を選びました。しかも条例により右側の三角の部分は家が建てられないという宅地＋非宅地の混合地です。そして家への希望はイヌ・ネコが暮らしやすいこと。この変則的な土地と変わったオーダーのなかで、最適な家を建てることができたのもまた工務店でした。奥様は埼玉を拠点にするオーガニック・スタジオを初めて訪れた時の感想を「緑に囲まれていて、景色も素敵だったんです。こんなところに暮らしたいと思う理想の形でしたし、部材や建材の素材感など、すべてが気に入りました。これだけ感覚が合う工務店さんなら、私たちの家もお任せできると思いました」と言います。ただし、ご夫婦にSE構法についての知識はまったくなく、とくにご主人はじっくり説明を受けたとか。

「すっかり惚れ込みましたね。SE構法を理解したうえでオーガニックさんの物件を見ると、SE構法のメリットを活かした設計をしていることがわかり、信頼度がグッと増したんです」

バルコニーの手前部分は、雑木林をのんびり眺められるよう、広めのスペースを確保。

　さて、設計で注意したのが大開口の窓を設けて森に囲まれている雰囲気をつくりあげること。大開口の窓はSE構法が得意とするところですからクリアできましたが、もっとも苦心したのはペットたちの快適さをどう形にするかでした。
「イヌもネコも若いうちは一般的な住居の階段でも大丈夫ですが、老齢になると下る際にとくに苦労するんですね。老犬介護の経験からそのことを学んだので、角度をゆったりにし、踏み板の幅も広くしました」
階段について「通常、住宅の階段の角度は約41度ですが、Ⅰ邸は約29度。つまり階段が１m50㎝長くなっているのです」と三牧省吾社長は説明します。そのため階段の存在感が際立つことに。
「この階段の存在感こそがⅠ邸の個性だと発想を転換しました。あえて窓と隣接した特等席に階段を設置したんです」

階段は窓越しから降り注ぐ太陽を受け、ネコたちの憩いの場。またペットのためのバリアフリーとの思いから設計されましたが、暮らすうちに緩やかな勾配は人も使いやすいとわかりました。これは嬉しい誤算だったでしょう。
もうひとつ作られたのが、現在、一緒に暮らす8匹のネコたちのためのオリジナルのキャットタワーです。
「せっかく作ったのに、ネコたちには不評で、見向きもしない。奥様が観察して、大人4人がああでもないこうでもないとまた考えて、改良を加えながら、ようやく使ってもらえるようになった力作なんですよ（笑）」
2階の窓にはキャットウォークをつけ、家中を周回できるように工夫。またネコは各部屋の扉を容易に開けることができるため、外と内側の高い位置に鍵を取り付けています。さらに1階の廊下には棚を備え、棚下にはネコ用のトイレを複数個置ける空間を設けました。キッチンのIHレンジには折り戸をつけて、安全にも配慮しています。

「景色には大満足です。建設当初はあまりに林が鬱蒼としていたので、林内環境と景観を向上させるため、雑木林の所有者にお願いして少し伐採させてもらいましたけれど」と奥様。また「そして伐採した木は薪にして、ストーブに使わせてもらっています」とご主人。そして、肝心のネコたちは「家中を自由に動き回れるので、満足しているでしょうね。なにしろ彼らの方がこの家に慣れるのが早かったですから（笑）」。