暮らし拝見 木の家 MyStyle vol.11
“大空間で子育てしたい”
夢を実現できるSE構法を長期優良住宅で建築 「自分は一戸建てで育ったので、いつかは自分の家が欲しいと思っていました」というWさん。父が建築業ということもあり、家を建てる事には以前から積極的な思いがあったといいます。
「具体的なきっかけは子供が生まれるということでした。同じ頃、親戚の土地を買い受けられるというタイミングもあり、家づくりを考え始めたんです」(Wさん)
最初、ハウスメーカーや地元メーカーのモデルハウスを多数見学したが、自分たちの暮らしに合うような現実的なものが見つからないという結論に。そこで、父に相談したところ、SE構法で長期優良住宅を建てることを勧められたとか。
「最初から専門家である父に頼るのでなく、自分たちの目で見て納得したかったんです。でも、大半のハウスメーカーの住宅は、ある程度、伝えた通りに仕事をしてもらえたとしても、その先のもう一歩を考えてもらえないのではないかと判断しました。SE構法の話しを聞いたとき、壁が少なく広い空間が造れるのが魅力でした。住宅のテレビ番組を見て、大きな空間で子育てしたいというイメージがあったからです。それに長期優良住宅も知って、安全で長く住める家なら、なおのことSE構法で建てたいと」(Wさん)
A.2階とをつなぐ階段は、視界と光、通風を遮らない螺旋階段を採用。こうした提案は夫婦の意向を汲んだ工務店からの提案。 B.SE構法の特徴である集成材の梁は階段付近だけ見せることにした。梁を見せることで、将来的に歪みなどがチェックできることも見込んでいる。 リハビリのノウハウを住宅の随所に組み込み
将来も安心の家づくり 公道に面する北側には、玄関と駐車場を置き、外に閉じた設計に。
住宅街の中にあって、周囲になじむデザインにも配慮している。 実はWさん夫妻は共にリハビリを目的とした作業療法士であり、住空間に関しては、お仕事ならではの知識や目線を持っていたのです。それを生かしつつ、家の間取りや細かいディティールに関しては、主に産休中である奥様が進行。
「人は老齢になれば、足腰が弱っていきます。ですから、リビングと続きの和室は普通、リビングの床面と同じ高さにするところを、あえて45cm床上にしました。椅子のように楽に立ったり座ったりができるようにするためです。将来、手すりを付けたい部分の壁の内側には下地を造ってもらったり、人の向きが反転できるような腰掛けを付けてもらったりと、知識の限りを組み込んでもらいました」(奥様)
こうした要望を工務店に伝えるとき、方眼紙に描いて渡すなど、具体的に伝えたこともスムーズな家づくりの秘訣だったようです。
「こちらが方眼紙でイメージを伝えると、それを基に本職ならではの提案もしてもらえました。夫婦間の話し合いでも、口頭だけでやりとりしていると、うまく通じずに喧嘩ごしになったりしますが、方眼紙に描いた間取り図を基に話したおかげで、お互いに納得いく話し合いができたと思います」(Wさん)
C.ご主人の書斎は、仕事の書籍と趣味のマンガが収納できる書棚を希望通りに。隣の寝室とも洋服収納の部屋を隔てて繋がっている。 D.2階の第二のリビング。いまはリビングだが将来、子供が成長したら個室に可変できるように仕上げている。2階の上のロフトは収納として備えている。 E.足腰が弱くなる未来に備えて、直接腰掛けられる高さに設置した和室。高床にした分、畳下に収納をつくった。 F.家族用の玄関として、玄関の横に収納空間を設け、靴などがすっきりと収まるように設計したのは、奥様のたっての希望。ここには将来、手すりを付けられるように壁内が施されている。 G.玄関には手すりと、座り向きが座りながら反転できる腰掛けを設えた。子育てにふさわしく、省エネ、地震にも強い家に大満足 こうして完成した家は、1階の広いリビングダイニングキッチンが特徴的な設計。
「壁に遮られることのない、広いリビングが何より気に入っています。キッチンで家事をしていると、いつでも子供の姿が目に入りますし、中央に設置した螺旋階段の吹き抜けからは、2階で主人が仕事をしている音が伝わってきて安心できます」(奥様)
「子供のリハビリを担当しているのですが、大きな体育館のような場所で行います。我が家のリビングも大きな遊具が置けて、子供がのびのび遊べるので、同じイメージが実現できました」(Wさん)
間取りや室内の造りもさることながら、長期優良住宅の性能の良さも実感。
「広さを考慮して2台付けたクーラーですが、暑い日も1台で十分。冷気の保持時間も長いです。結露もまったくありません。静岡沖地震のときは、ほとんど揺れを感じず、この家の強さが実感できました」(奥様)
安心な子育てが叶う家を手に入れたWさん夫妻。家族で家庭菜園にいそしむ日々を楽しみにしているそうです。
SE構法で家を建てることを決意した後、その大空間をできるだけ生かす設計を考えた奥様。その分、壁の少ない室内へいかに収納を造るかを試行錯誤し、見学に行ったモデルハウスの写真を撮ったり、専門誌を参考にあれこれとアイディアを出した。それを方眼紙に描くことで具体化。夫婦間や工務店との話し合いには、この手描きの間取り図が大いに役立った。
H.家づくりの参考にした書籍の中でも「住まいの設計」と「近藤典子が建てた家」は何かとページをめくったもの。家全体のイメージと収納造りに役立った。 I.文房具店で購入した方眼紙に、フリーハンドで間取り図を描きイメージを形にしていった。要望のメモ書きも添えることで、より工務店に伝わりやすい。 J.工務店がつくった立体模型は、上から眺めたときに間取りが見渡しやすい平面図を貼り付けたもの。SE 構法によるスケルトン&インフィルの間取りをチェックするには、この模型がわかりやすかった。 K.採用したSE構法に関する書籍やパンフレット。ハウスメーカーの家づくりとは異なり、SE構法を実施する工務店が家を建てる。工務店との家づくりは、自分たちの思いが実現しやすかったとW夫妻。 ▼設計・施工/栃井建設工業株式会社
http://www.totii.co.jp/
▼栃井建設工業株式会社 経営者のホンネ日記
http://www.mokkotsu.com/diary/?shop_id=203